包茎の種類と包茎治療・手術

男性の勃起不全による性機能障害と治療

包茎(ほうけい、英・仏・羅:phimosis、独:Phimose)とは陰茎の亀頭が包皮に覆われて露出不可能ないし露出に問題が伴う状態であり、医学的には陰核の同様の状態も指します。 この項では以下陰茎のみについて表記します。

包茎の概要・種類

陰茎は亀頭部と陰茎体部からなり、陰茎包皮は先端の包皮輪ないし包皮口とよばれる折り返しの部分を境に亀頭に接する内板と普段露出している外板に分かれています。

出生時には亀頭は包皮に覆われており、小児の生理的包茎は正常な状態です。 通常は成長に伴って亀頭の露出・包皮の翻転が可能となってくるため、早期に治療を行う例は排尿障害があるもの、嵌頓包茎、亀頭包皮炎を起こすものなどに限られ、 特別な治療が施されるものの、昨今では別途医療技術が確立されており小児に対する手術は大きく減少している。 だが成人後もこれがみられない場合は病気とされ、保険適用治療の対象となる。

仮性包茎
仮性包茎
仮性包茎
日本人に一番多いタイプがこの仮性包茎です。 通常は包皮が亀頭を覆っていますが、手でむけば簡単に露出させることができます。 勃起時は亀頭が自然に露出するものから、勃起時でも、ほとんど皮が被った状態のものまで様々です。 サイズに関係なく、勃起時の膨張率が高い人などは、包皮と陰茎の誤差により仮性包茎の状態になりがちです。

衛生面など一部では問題もありますが、実際、仮性包茎は正常なペニスと考えてもよいので、その意味で言うと、亀頭が露出するようになれば、正常なペニスだと言えます。 その為、整形病院などの行っているような誇大広告のように急いで包茎の手術を受けなければならない状態ではありません。

真性包茎
真性包茎
 真性包茎
ペニスが勃起したときも、していない時も全く皮をむく事ができない状態のことをいいます。
つまり皮の中に隠れている亀頭を見ることができません。 包皮口が異常に狭いか、もしくは亀頭と包皮がくっついてしまっている状態なのです。 放置しておくと亀頭炎や包皮炎などの炎症が継続的な症状として残ってしまう可能性もあり、亀頭と包皮の癒着が起こることもあります。 亀頭が常に覆われているため、亀頭の成長を妨げる原因にもなり成長期に放置した場合は歪な陰茎形状になりがちです。 真性包茎になる原因として、幼児期など皮の伸びやすい時期に、勃起し過ぎたなどの場合、真性包茎になりやすいと言われています。

治療法は手術しかないので早期の治療が必要といわれています。

嵌頓(カントン)包茎
嵌頓(カントン)包茎
嵌頓(カントン)包茎
無理をすれば皮をむくことができますが、包皮口が狭く、亀頭の下を締めつけてしまう状態をいいます。そのままにしておくと皮が戻らなくなり、水ぶくれのように腫れてしまうケースもあります。勃起時に露出しようとすると、痛みを伴ったり、亀頭が締め付けられるような違和感を感じたりします。軽度の症状の場合、これらの自覚がなく、微妙に狭い部分が亀頭のくびれに引っかかり亀頭が露出する場合があります。この場合、常に亀頭が露出している為、包茎ではないと思い込んでいる人が多く見受けられます。

性行為時、皮膚が切れ易い方もその可能性があります。更に、血がたまった状態になると、重大な事態になります。手術などによる早期の対応が必要です。

包茎の問題点

衛生
恥垢が亀頭冠状溝と包皮の間に溜まる。だが包茎であると汚染や感染を生じ、尿路感染症や陰茎癌発生率を高める可能性が指摘されているが清潔にさえすればその心配はない。無理に剥離しようとすると出血の可能性があるため、亀頭包皮炎を起こさない限り無理な剥離はしない方がよい。
性行為
射精自体は可能なものの包皮が引っ張られることにより痛みを生じることが多く、挿入時の摩擦により陰茎が包皮を破り出て傷害を負う危険性もあるので通常の性行為は困難である。また、包皮に裂傷を負う場合もある。
尿路閉塞性疾患
力まないと尿が出ないほどの重度の包茎では尿路閉塞性疾患を起こして膀胱拡張、肉柱形成(膀胱の排尿筋の肥大)、水腎症と進み腎不全になるおそれもある。また、包皮が邪魔で尿がまっすぐ飛ばない場合もある。

仮性包茎と手術

亀頭が露出するだけの包皮輪径のある仮性包茎の場合、多くは手術は不要であるが、同じ仮性包茎でもあまりに包皮が多く余っていると勃起時にも亀頭が露出せず、性行為の際に問題を及ぼす場合がある。また、日本においては仮性包茎者本人がコンプレックスや諸問題(性行為や陰毛の巻き込みなど)からの解放を求める場合など、以上の様な場合には手術が適用されることとなる。その他炎症や恥垢の著しい場合は尿路感染症、陰茎がんなどが懸念されるため、医師の診察のもと手術が行われる場合もある。

包茎手術の術式

手術は局所麻酔下で行われ、大きく背面切開術と、環状切除術に分けられています。 軽度なものには背面切開術が、重度なものには環状切除術が適用されることが多いとされています。

昨今、美容整形などでは縫合目などが残らないよう、自然な仕上がりにする為等で様々なタイプの切開術が考案されていますが、基本的には包皮のカット形状のみの違いで、術後の機能に関しては相違ありません。

環状切除術
環状切除術
環状切除術
この術式は、余剰包皮の切除範囲の決定が容易とされる。

包皮の尿道口に当たる部分から鋏を挿入し、包皮の背側、腹側、各々を縦にまっすぐ切り開く。 続いて、2対の鉗子で切り開いた背部、腹部の包皮をそれぞれ左右に蝶の様に拡げ、できるだけ対象に、陰茎の断面に沿って余剰包皮を環状に切除する。 これにて包皮の内板と外板が、亀頭側と陰茎根部側に二分され残るので、両者を全周に渡って縫合する。参考文献によれば成人男性の場合、360度で8針が目安となる。

通常、吸収性の縫合糸(術後、加水分解などで経時的に吸収される)が使用され、抜糸の必要はないとされるが施術される病院による。

背面切開術
背面切開術
背面切開術
包皮先端を鉗子で把持し牽引し、包皮内部の亀頭はできるだけ後方へ押し戻す。しかる後に2本の直コッヘル鉗子で余剰包皮を挟み込み、この間を切断、除去する。

小児に施術する例では、包皮先端に糸をかけ皮膚ペンでデザインし外板を切開、そののちに亀頭に糸をかけ牽引しながら内板を切開、この間の包皮を剥離・除去するという方法もある。 いずれにしてもこの際、背部は短めに、腹部は長めに包皮を残すことが肝要である。 この後にやはり、二分された包皮を縫合する。この術式は最も容易であるが、比較的、切除すべき包皮の長さを決定しにくいという欠点と、前述のとおり包皮内板を多く切除するため快楽が減少する危険性が指摘されている。 以上の説明は鉗子で挟み込んだ間を切除している例であるが、包茎手術用に作られた特殊な器具で余剰包皮をクランプし切除する術式もある。
包茎手術の費用・保険適用について
日本においては健康保険によって費用は3割の負担で済み、2万円から3万円程度である。
しかしながら仮性包茎や成人型男性器に達する前(男性器の成長のTannerの第1-4段階)は病気とは見なされず、また、一部の保険治療を行っていないクリニック(美容整形など)では自費診療となり、場合によって費用は十万円から数十万円とされている。

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